平成12年2月28日
都道府県労働局安全主務課長殿
厚生労働省労働基準局安全衛生部安全課長
標記については、建設機械の多機能化に伴い、ドラグショベル等の車両系建設機械にクレーン機能(荷をつり 上げるためのフック及び安全装置等を取り付けることにより荷のつり上げ、運搬を行うことができる機能をいう。 以下同じ)を備えたものが開発され、作業現場に導入されているところであるが、当該機械に係る労働安全衛生 関係法令の適用等の取扱いについては下記のとおりであるので承知されたい。
記
1 法令上の位置づけについて
(1)当該機械は,「荷を動力を用いてつり上げ,これを水平に運搬すること(以下「クレーン作業」 という。)」を目的とした機械装置と認められるものであり、労働安全衛生法施行令第1条第8号に 掲げる移動式クレーンに該当すること.したがって、労働安全衛生関係法令の車両系建設機械に係 る規定及び移動式クレーンに係る規定の両方が適用されるものであること。
(2)当該機械に係る構造要件については、車両系建設機械構造規格及び移動式クレーン構造規格(労 働安全衛生法施行令第12条第4号に掲げる移動式クレーン及び同令第13条第26号に掲げる移動式 クレーンに限る。)の両方が適用されるものであること。
2 当該機械を用いたクレーン作業について
(1)当該機械を用いたクレーン作業は、労働安全衛生規則第164条に規定する「車両系建設機械の 主たる用途以外の用途」での使用には該当しないこと。なお、クレーン機能を備えない車両系建設 機械を使用する場合であって,作業の性質上やむを得ないとき又は安全な作業の遂行上必要なとき に、車両系建設機械にフック等のつり上げ用の器具を取り付けて行う荷のつり上げの作業は、「主 たる用途以外の用途」での 使用に該当することは従来と同様であること。
(2)移動式クレーン構造規格に規定する安全装置等について,切替えスイッチによりその機能を有効 にするものについては、クレーン作業に際しては、必ず安全装置等を有効な状態で使用しなければ ならないものであること。
3 資格関係について
(1)当該機械を用いてクレーン作業を行う場合は,当該機械のつり上げ荷重に応じ当該機械の運転の 業務については、移動式クレーン運転士免許を受けた者、小型移動式クレーン運転技能講習の修了 者又は移動式クレーンの運転の業務に関する安全のための特別の教育を受けた者が,玉掛けの業 務については、玉掛け技能講習の修了者又は玉掛けの業務に関する安全のための特別の教育を受 けた者が行うことが必要であること。
(2)当該機械を用いて車両系建設機械の用途で作業を行う場合は、その用途及び機体重量に応じ,車 両系建設機械運転技能講習の修了者又は車両系建設機械の運転の業務に関する安全のための特 別の教育を受けた者が行うことが必要であること。
(3)当該機械の走行(道路交通法第2条第1項第1号に規定する道路上を除く)に係る業務を行う場合は、 車両系建設機械又は移動式クレーンの運転に係るいずれか所定の資格を有する者が行うことが必要 であること。
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